高齢者の増加、食生活の欧米化などが患者数増加の原因とされています

恥骨と直腸に挟まれる形に位置する前立腺は男性特有の臓器で、前立腺液を分泌して精液の一部をつくり、その精子に栄養を与え、保護する役目をしたり、膀胱の出口の開閉にも関係しています。

前立腺がんは高齢者に多く、患者さんの約90%は、60歳以上といわれており、死亡者もこの年齢から急カーブを描いています。アメリカにおける男性のがん罹患率が一番高いがんはこの前立腺がんで、男性の約16%が発症するとされています。

従来、日本人は前立腺がんの患者数が少ないとされてきましたが、@高タンパク・高脂肪の欧米型の食生活の普及、A高齢者の増加、逆にプラス面としては、Bがん検診の受診率の高まりで、早期に発見されるケースが増えた…などが挙げられます。そのほかにも喫煙や飲酒、遺伝などのファクターも報告されていますが、現段階では前立腺がんの発生にどれだけ関係しているのかを明確に示すまでには至っていません。

前立腺がんは、前立腺のあらゆる場所にも発生しますが、70%は直腸側に大きな領域を持つ「辺縁領域(外腺)」に発生します。ここにがんができると直腸側に膨らみが出ますので、肛門に指を挿入する直腸診でがんの状態がわかります。

前立腺がんは初期の段階では自覚症状は現れません。がんがある程度成長すると、尿道が圧迫され、頻尿や夜間頻尿、排尿困難、切迫性尿失禁などの症状が現れます。これらは前立腺肥大症の症状と同じですので、前立腺肥大症の検査でがんが発見されることもあります。ただし、症状が似ているからといって前立腺肥大症の悪化で前立腺がんになるというわけではありません。この二つはまったく別の病気です。

この段階で治療を行わずに放置していると、尿閉や肉眼でもはっきり分かる血尿、勃起不全、更に進行するとリンパ節や骨、他の臓器にも転移してしまい、前立腺がんを対象とした治療では対処しきれなくなります。

現段階では前立腺がんが発生する明確なメカニズムは解明されていないため、予防法は確立されていません。初期の自覚症状も無いため、最善の策は職場や地域の健診や人間ドックで前立腺がんの検査を定期的に受けることが大切です。60歳代から前立腺がんによる死亡者数が急激に増えています。病気はそれよりダイブ前に発症して進行しているはずなので、特に50歳代の方は検査を受けるようにしましょう。